資料シート●各科目

セル

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 スチルは、縦横に並んだの格子と考えることができる。この格子のます目をセル(cell、▽図)といい、左右に並んだ一列のセルをまとめてラスタ(raster)という


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スチル
セル(太線で囲まれた部分)とラスタ(細線で囲まれた部分)

 スチルは左右と上下に広がっているので、時間に沿って続いているだけの音に比べると取扱いが難しい。しかし、ラスタを上端から順につないで長いセルの列を作れば、スチルも音と同じように扱うことができるようになる。ただし、この列は、ほとんどの所では(少なくとも左右については)実際と同じ並び方になっているけれど、ラスタのつなぎ目については実際の隣り合わせとは違う並び方になっているので、そこだけは特別な取り扱いが必要になる。

 コンピュータでスチルを取り扱う場合は、△図のように、縦横を同じ間隔で切って正方形の格子を作ることが多い。
 ふつうのTVの放送やVHSテープの録画の中には、フレームと呼ばれる無数のスチルが含まれている。そのそれぞれのスチルは、セルに分けないままのラスタを順に(単純に上から下へというわけではないが)つないだものとして表現されている。また、それぞれのラスタは微妙に右下がっている(▽図)。



TVやVTRのラスタ(以前)
記録される前のスチル(左)と再生されたもの(ともに強調図)

 ラスタやセルの分割の回数は、TVやビデオテーブではあらかじめ決められている(▽表)。

用途
分割数
TV/ビデオ録画(従来)
(非分割)×490
ビデオ録画(DV)
720×480

スチルの分割

 全体の縦横の長さがあらかじめ決められているスチルについては、その実際の長さに対するラスタの本数(=ラスタの密度)を解像度(resolution)という。解像度は、(習慣により)dpi(<dots per inch)で表わされる(▽表)。
 コンピュータのモニタは、(標準としては)72dpi(マック機の場合)または96dpi(ウィン機の場合)でウィンドーや字や像を表示するようにできている。

 ふつうの絵や写真なら、一定の広さをもったセルの中には微妙に違ういろんなが現われる。そのうちの、決まった位置(たとえば左上の隅)のを代表に使って、それぞれの格子に対して一つずつのを選んでセルを塗りつぶしてしまっても、分割が十分に細かければ、もとの像とほとんど変わらない像ができる(厳密には少し貧弱な像ができることになる。▽図)。このような変換を標本化(sampling)という。



標本化
もとのスチル(左)とその標本化


システム
ラスタの本数
ビデオ
TV
(NTSC方式の場合)
525
コンピュータのモニタ
480, 720
(ほかいろいろ)
スキャナ
(可変)


カメラ/モニタ系のしくみ


 ライブの像をカメラで録画する時などは、カメラの感光面に結ばれた像をラスタごとに左から右へと記録していく。そして、これをモニタで再生する時は、電子ビームを、記録されているのに合わせて強くしたり弱くしたりしながら、左から右に振る。すると、ビームの強さに応じてスクリーンに塗ってある蛍光体が光り、ラスタが再現される。こうすると、ラスタの範囲では、像は1本の直線と同じになり、サウンドと同じように扱えるようになる。
 1枚の像を構成するラスタの本数は非常に多いので、ふつうの順番にしたがって上から下に向かって録画していくと、上と下とでは時刻の違いが大きくなってしまう。これを防ぐため、途中のラスタを抜きながら大まかに録画して、そのあとで抜いたラスタを録画する手法が用いられている。この手法をインタレース法という。再生についても同じような問題が起こるが、これもインタレース法によって解決できる。
 最近のスチルやビデオでは、各ラスタをさらにいくつかずつ縦に割ってますを作り、それを単位として記録/再生をするようになってきた。このますをセルという。1本のラスタは数百〜1024個ぐらいのセルに分割される。セルはサウンドの場合のサンプルに相当する。

像<ラスタ<セル

 以上のしくみから分かるように、ビデオやコンピュータでは、同じ1枚の像でも、ラスタやフィールドによって早く記録/再生される所と遅く記録/再生される所とがある。
 また、ラスタやセルは小さいながらもそれなりの幅と丈があるのに、ビデオやコンピュータでは、それを一まとめにして記録している。
 これらのことから分かるように、実は、ラスタの考え方に基づいた技術によって撮影したスチルには、実際の像とは微妙に違うものが記録(したがって再生も)されている。



スチル


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最新更新
03-04-24