資料シート/[三月劇場]
古代ギリシアの記数法と数字
加藤顕 中野綾 古館美穂
http://www.infonet.co.jp/apt/March/syllabus/bookshelf/Greek.html
古代ギリシアには、紀元前8〜6世紀に使われていたヘロディアノス式と、そののちの時代に使われていたイオニア式の二つの記数法があったことが知られている。
ヘロディアノス記数法
ヘロディアノス式では、▽図のような文字が単位数字として使われていた。
Ι
|
1
|
Δ
|
10
|
Η
|
100
|
Μ
|
100
|
...
|
...
|
これらのほかに、5、50、500、...を表わすためにΓ(Πの異体字)が使われていた。その右上の隅に小さいΙ以下をぶら下げて、これらの数を表現していた。
ヘロディアノス記数法の考え方は、のちの
ローマ記数法に引き継がれていった。
イオニア記数法
イオニア記数法では、▽図のように、点と小文字とを組み合わせたものを自然数倍単位数字として使っていた。
α’
|
1
|
β’
|
2
|
γ’
|
3
|
δ’
|
4
|
ε’
|
5
|
’
|
6
|
ζ’
|
7
|
η’
|
8
|
θ’
|
9
|
ι’
|
10
|
κ’
|
20
|
λ’
|
30
|
μ’
|
40
|
ν’
|
50
|
ξ’
|
60
|
ο’
|
70
|
π’
|
80
|
’
|
90
|
ρ’
|
100
|
σ’
|
200
|
τ’
|
300
|
υ’
|
400
|
φ’
|
500
|
χ’
|
600
|
ψ’
|
700
|
ω’
|
800
|
’
|
900
|
|
,α
|
1000
|
,β
|
2000
|
,γ
|
3000
|
,δ
|
4000
|
,ε
|
5000
|
,
|
6000
|
,ζ
|
7000
|
,η
|
8000
|
,θ
|
9000
|
,ι
|
10000
|
,κ
|
20000
|
,λ
|
30000
|
,μ
|
40000
|
,ν
|
50000
|
,ξ
|
60000
|
,ο
|
70000
|
,π
|
80000
|
,
|
90000
|
,ρ
|
100000
|
,σ
|
200000
|
,τ
|
300000
|
,υ
|
400000
|
,φ
|
500000
|
,χ
|
600000
|
,ψ
|
700000
|
,ω
|
800000
|
,
|
900000
|
|
...
当然ながら、このようにして割り当てていくと通常の文字だけでは微妙に種類が足りなくなってしまう。そのため、外国の文字(▽図)も援用しているが、何か涙ぐましい。

これらの数字(?)を使って、たとえば524を"φ’κ’δ’"のように表記していたらしい。
ヘロディアス式もイオニア式も、今の
インド記数法と比べると、下記のような問題を抱えている。
○一目で見てどちらが大きいか分かりにくい
○計算に使うのは難しい。
ただ、当時のギリシャでは、文字を書く媒体といえば、高価なパピルスか、オストラコン(ostracon、土器片)のようなものしかなかったため、記録のための手段としての役割りのほうが大きかったのかもしれない。
ギリシャの記数法は、1億ほどまでしか記述することができなかったらしい。当時の社会は、その程度の大きさの数が記録できれば事足りていたのだろう。今の
インド記数法は、無限に大きい数を記述できるが、わたしたちの世界の認識は、そのおかげでここまで拡大できたのだと言えるかもしれない。

△
古代のいろいろな記数法
([吉田]より)
参考文献
・
吉田洋一
零の発見
(岩波書店、39-11-27)
このページの記事は、科目[情報処理]を履修した学生が、課題[記数法]の学習の一環として作成した著作物を再構成したものです
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