パネル資料
創造性の育成 - メディア学の教育の現場から

課題の必然性



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事例
[まるで絵のように]([プリントメディア演習])

 これは、色分版によるイラストレーションをテーマとする課題です。この課題は多くの学習者にとってストレスになりました。
 色分版ごとに版下を描いていると、最後に刷り重ねる(もちろんウィンドーの中のシミュレーションですが)まで、どんなイラストレーションができるか、制作している本人にも分かりません。そのサスペンスを体験させることがこの課題の狙いでしたが、多くの学生はそれをサスペンスとして楽しむことも、発想のきっかけにすることもできませんでした。
 これは、サスペンスがあることを観念でしか説明しなかったのが誤りだったと考えています。おもしろさや発想が開かれるという感覚は、実際に体験してみなければ納得してもらえません。たぶん、制作を始める前に、ごく小さな習作をさせて、カラーの作品が現われた時の喜びをあらかじめ体験させておくといいと思います。
 逆に、抑制の要素も検討しておくべきかもしれません。結果が容易にプレビューできる環境では、結果がどうなっているかつい確かめてしまうのをがまんする必然性がありません。これについては、描こうとしているイラストレーションの下描きをまず作らせて、それから独立した(YMCKの)4枚のファイルを作って個別に描画させることで解決されるでしょう。
 おもしろいのは、このようにして改良された課題は、もとの設計よりも実際の(コンピュータを使わない)制作の形態により似ているということです。課題を設計することによって、従来の表現の技法が現在の形態になった必然性が更めて理解できるようです。




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98-01-22

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