いくつかの表現の形式は、ほかの表現の形式を要素として構築されています。たとえば、アニメーションはフリップやキャリアを手で描いて(写真を使うなどのバリエーションもありますが)作りますから、アニメーションの技能を身につけるには、前提として描画の技能をもうもっていることが要求されます。
このことは、課題を設計する障害になりますが、モチーフの選択を工夫すれば、テーマは維持しつつ回避することも可能です。
事例
[コンピュータ演習]では、アニメーションを題材とした単元として、
[カウントダウン]や
[ファンシークロック]という課題を設定していました。
これらの課題で問題になったのは、絵が描けない学習者がいる点でした。描画があまり得意でない学習者は、作業の初期の段階で意欲を失ってしまいます。しかし、この単元のテーマはキャリアアニメーションによる運動の表現であって、もし絵が描けなくてもそのままで参加できるようにしたかったのです。
そこで、動かす
キャリアをあらかじめ準備しておくことにしました。具体的には、ヨーロッパの古い図鑑のイラストレーションをいくつか電子化してファイルに記録しておき、その中からキャリアとして使える部分を発見して切り取らせるようにしました。
この対策は、
フレームの描画と運動の表現とが互いに影響し合って新しい表現が生まれる可能性を失ってしまうという欠点もありますが、アニメーションによる表現をスムーズに導入することに関しては、かなり効果がありました。