事例
[表情のある自画像]([コンピュータ演習])
この課題では、時々ですが、表示の倍率を最大に上げて、ピクセルごとに色を置いて絵を描こうとする学習者がいます。別にそこまで細かい作業をしなくても、紙に絵筆で描くのと同じようにシステムを操作すれば、十分に望む通りの絵が描けるはずです。これも、制作の過程として必要なので行なわれるわけではなくて、どうも前の節の事例とよく似た現象のようです。報告者は、学習者に指導する場合には、"
ピクセルの壷に落ちている"と言っています。
この現象は、前の節でとりあげたものとよく似ていますが、別に新しい行動を拒絶しているとは限らなくて、ただ、集中して考えている間の、白紙に意味のないことをつい書いてしまうのとよく似た行動だと思います。報告者はこの反応は必ずしも学習の妨げになっているとは感じていません。ただ、ピクセルに色を置くという作業は、一度始めると止めることができない気持ちのいい作業なので、見つけたら正気に返させるようにしています。
はまり込みさえしなければ、この行動は、全体としての絵と、ストロークと、ピクセルの行列として表示されている画像との関係に興味を持ってもらうきっかけになるかもしれないとさえ考えています。