論文

芸術系大学における基礎専門教育としてのハイパーカード制作





5. 報告−クラス科目[情報化社会]におけるハイパテキスト実習

5 . 0 . [情報化社会]の概要

 京都芸術短期大学では 1 9 9 2年から従来の形式のいわゆる一般教育科目を大幅に改組して、それらに代わる総合科目的な性格の[クラス科目]をスタートした。
 クラス科目は、地中海・京都など六つの事項のそれぞれについて、それを対象とする複数の科目を開講するものである。学生はそれぞれ特定の対象を選択し、2年間にわたってその対象に関連して開講される科目を横断するように履修する。各科目は講義だけでなくディスカッション・実作・野外実習などの形式も取り入れて立体的に実施される。
 [情報化社会]は[環境と生命]クラスで情報科学を学ぶ学生のために開設されている科目である。

5 . 1 . 要求分析

 情報科学を学ぶためには、まず、学習者が分野の対象である情報に対して直感的な理解を持っていることが望ましい。しかし、学生のほとんどはゲーム機で遊んだという以上の主体的な情報処理体験をもたない。したがって、情報体験をすること自体とそれを対象とする教育とを並行して進める必要がある。
 [情報化社会]は半期相当の集中科目で 1 5講時かけて実施する。情報処理技術とそれに関連する多くの話題を広く講義するため、ハイパテキストなど個々の話題に十分時間を割くことがてきない。このため、カードに記事を記入する作業や、そのために必要な作文・描画のための操作の学習のための時間が十分には確保できない。
 また、情報科学そのものを学ぶのは誰も初めてであるから、情報科学に特有の学習の方法(コンピュータを操作して実験を行なうこともその一つとして含まれる)にはまだ習熟していないことにも注意する必要がある。もっとも、選択科目をあえて受講する点でモラールは高いことが期待できる。

5 . 2 . 実習の形態

 [情報化社会]におけるハイパテキスト実習は[銀河鉄道案内]の表題のもとに行なわれる。宮沢賢治の小説の「銀河鉄道の夜」および何編かの詩に現れるキーワードが書かれたカードからなるフラットな(ボタンがなくリンクが張ってない)スタックを素材として与え、カード間にリンクを張らせる。カードとカードとの間の関係を各自の見方に基づいて発見させるのがねらいである。
 独自のカードを追加できることは指摘するが、そのための作業はオプションとする。
 学生には準備として宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」や詩を熟読しておくよう指導する。
 この実習でも、[コンピュータ演習]と同じく M a c i n t o s h I I c xと [ H y p e r C a r d]を教具に用いる。この単元は 2 . 5講時で完結する。




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